2015年6月の山行記です
昨年の6月29日は三頭山に行くことが出来ませんでした。最近は山から遠ざかり、低山でも登る自信がなかったのです。 今回も自信はないものの、天国のヨーゼフに約束したことなのでぜひとも登りたかった。そうしないと私の気持ちが晴れなかったのです。 最後に三頭山に登ったのは2009年12月6日ですから、もう5年半も前のことです。それからは以前に比べほとんど山登りはしてません。 でも6月29日に三頭山に登るのは私にとって悲願と言っても良いものになっていました。 亡きヨーゼフのため、自分自身のため行かなければならないのです。
今回は3時間程度を目安として計画しました。 クーとメイは今回は連れて行きません。かわいそうですが、クーの足ではもう三頭山は無理だと思います。 もし、私が途中でダメになったら残念ですが引き返す積りです。 最近は起きたことのない時間。4時半には起床。 クーとメイを散歩させてから6時前に家を出発。 武蔵五日市方面に行くのは3年以上前の風張峠以来でしたので、青梅に入って道を間違てしまい秋川街道をやり過ごしてしまいました。先へ行って戻り無事五日市方面へ向かいました。
もうここからは間違えようがありません。だが、この後大きな問題が待っていました。 登山口の都民の森へ着くとまだ8時前なのでゲートが閉まってます。 並んだ車の列に私も停めました。前に並んでいる車はトラックとか営業車です。ちょっと何か様子が・・・ そのうち関係者らしき人が現れゲートを開いた。私の前に並んでいた複数の車は奥多摩周遊路へ進んでいく。 中には都民の森駐車場へ入る車もある。私たちも駐車場へ入るため進むと。係員らしき人が「今日は休みなので入れません」と言うではないか。確かにゲートの前には「本日は休園日です」の看板が。それは知らなかった。 「三頭山に登りたいのですが、施設は別にしても、駐車場も使えない
1km先まで道路は上り。それも結構な急坂だ。 以前、鞘口峠まで歩いた時に使った風張峠の駐車場に行ってみようかとも思ったけど、結局1km先まで行くことにした。 車ではあっと言う間の距離だった。でも帰りの上りを考えるとちょっと憂鬱だった。 駐車場は道路の左右にあった。左側のは砂利敷きでただの広場だが、トイレがあった。トイレを拝借し、右側の整備された(ここも砂利敷きだが区画されていた)駐車場に移動して停めた。私たちの後に1台同じように向こうから移動して停めた車があった。 早速支度をして出発した。 駐車場に付けられた階段を下りてこの駐車場まである歩道を下って行く。
1kmってこんなにあったんだと思うぐらい距離がある。おかーさんは軽快にサッサと下って行く。私はたまらずもう少しペースを下げてと声を掛けた。今回は荷物を簡略化したのでザックは軽いけどそれでもついて行けない。 都民の森駐車場には鎖を跨いで入った。おかーさんはちょっと遠回りしていた。 駐車場からは木材工芸センターの先まで舗装路を行くのだが、これが毎度の坂道で森林館下のトンネル辺りでもうバテてしまう。 立ち止まっては少し歩きまた立ち止まる。こんな事では先が思いやられる。果たして山頂までたどり着けるのだろうか心配だ。木材センターの先にお知らせがあり「熊の目撃」情報があり、鈴等音の出るものを付けて下さいとあった。
時計を見ると9時15分を過ぎている。都民の森駐車場から40分近くも経っていた。出発してもう1時間。 ここで予定どおり10分の休憩をとった。 いよいよここからがホントの山登り。急な尾根筋の「ブナの路」をジグザグに登って行く。 平衡感覚がやや怪しくなってるので慎重に登る。道の脇にはまだ幼木のムシカリ(オオカメノキ)の木が花をつけている。 短い平坦な区間で休憩をとった。峠から30分ほどしか歩いてない。 再び歩き始め1,300m地点を過ぎ、鞘口峠から1時間ほどで見晴らし小屋に着いた。 ここは見晴らし台ではなく小屋となっているだけあって屋根があり、
見晴らし小屋を出発して10分ほどで1,400m地点を通過。 ここからまた登りが厳しくなる。段差が大きくなり運動不足の足はなかなか持ち上がらない。 クーちゃんはもちろんヨーゼフも時には持ち上げてやらなければならかったところだ。 この頃になると後続の登山者が現れる。どんどん先に行ってもらった。 見晴らし小屋から40分ほどで三頭山・東峰の分岐に到着。 私はここで巻き道を行くことにした。おかーさんは東峰・中央峰に寄っ て行くことにした。と言っても分岐からはひと登り。今まで東峰に寄らず巻き道を行くことはなかった。今の私にはそれさえもできないのでありました。 東峰・中央峰と西峰の鞍部に着いて写真を撮っていると程なくしておかーさんが下りてきた。 ついに西峰への最後の上りだ。 ゆっくりゆっくり一歩づつ山頂へと歩を進める。あと少しでヨーゼフと山頂に立てる。 恥ずかしながら涙が出そうだ。
ヨーゼフ、来たよ。 11時42分、ついに三頭山の山頂に立った(立てた?)。 山頂広場にはベンチが何脚か設置されている。 できればヨーゼフと来た時、いつも使ったベンチが空いてれば(不思議にいつも空いていた)と思っていた。それがなんと、空いてました。 山頂には3組の先行者がいましたが、皆さん遠慮(?)したのか幸運にも空いていたのです。ヨーゼフの思いかな。 とりあえずザックを置き、ヨーゼフの写真を出す。 山頂標識の柱にヨーゼフの写真を乗せ写真を撮る。
これで私の勝手なヨーゼフとの約束の一つは果たしました。絶対ヨーゼフと一緒に登るという。 写真を撮ってベンチに戻るとき、不覚にも涙が零れてしまいました。 写真を撮ったあとは昼食。今回は荷物を軽くするため、ラーメンはなし。お湯も沸かさないし食後のコーヒーもなし。 おにぎりを噛みしめて食べる。うん、美味しい。水を飲む。うん、美味しい。 ひとごこち着いたところで、山頂広場をぐるりと見渡す。多分、もう来ることはないだろう。 来る時の様子を思い起こせば下山もかなり時間が掛るだろう。そう思うとゆっくりはしていられない。
登山靴の紐を上まで締めて準備良し。 そして最後のイベント。それはヨーゼフのお骨をほんの少しですが、三頭山の山頂に埋めることです。 最初は散骨しようかと思っていたのですが、粉にすることが出来ないので埋めることにしました。 小さな小さな骨を持ってきました。富士山が見える所へ(場所は秘密です)。これでヨーゼフは三頭山の場所を忘れることはありません。いつでも迷わず三頭山に来られるのです。そして三頭山からの富士山を望むことが出来るのです。ここでまた涙が・・・ ヨーゼフとの三頭山に別れを告げるときが来ました。 もう来ることはないであろう「三頭山」に。 下山は三頭沢沿いの道です。この道もブナの路にリなります。
先ずはムシカリ峠に下ります。丸太の階段状の登山道を慎重に下ります。 ムシカリ峠から左に道を取り、あとは一本道をひたすら下って行きます。30分も歩くと膝と腿が痛くなってきた。 1時間ほどでテラスに着いた。ムシカリ峠から三頭大滝までの間ではここだけテラスがあるのだ。 今まではヨーゼフだってクーだって休んだことはない。けれど今回は遠慮なく休むことにした。なんたって腿が悲鳴をあげていたからどうしようもない。おやつを少々つまんで糖分を補充する。 10分ほど休んで先へ進む。休んだ分ちょっと元気を回復。ここまでく
悲鳴を上げてる膝と腿、特に腿にガンバレと励ましを入れる。そうは言っても膝は限界に近い。 騙しだまし頑張って進む。石畳の道の段差で膝に負担がかかる。それでも20分ほどで三頭大滝にたどり着いた。 ここでちょっ一休み。あとはチップが敷き詰められた遊歩道を森林館まで歩くだけ。 途中、笹尾根(かつて2003年10月にヨーゼフも歩いた)が展望できる場所で写真を撮った。 都民の森の駐車場に2時半ごろ到着。次は数馬第一駐車場まで1kmの上りがある。
都民の森でトイレを済まし、出入り口で、バイクの若いカップルが今日は休みかとガッカリしていた。ちよっと会釈して数馬の駐車場に向かう。上り坂を歩いていると先ほどの若者がバイクで通り過ぎる際に「気を付けて」と声を掛けてくれた。 でも、これほど1kmが長いとは・・・ 駐車場に着いたのは3時過ぎだった。天国で見守ってくれたヨーゼフが「おとーさん、弱くなったね」と心配してくれたことでしょう。 駐車場には愛車のレヴォーグが1台寂しそうに待っていてくれた。 帰りの車中でおかーさんが一言。「おとーさん頑張ったね。途中でダメかと思ったよ」と。 やったよヨーゼフ。 おとーさん、時間が掛ったけど、三頭山に登ることができたよ。 |