今回の『白山』は東雲HCのリーダー田原さんが、あの深田久弥の『日本百名山』の百山目にあたる。そのためもあって参加者は最近にない大盛況で、金沢で合流する前川さんち3名と合わせ総勢24名の大団体になった。
9月12日、台風の影響で蒸し暑い夜になった集合場所の池袋には、今年初参加の高野氏、船橋氏やドイツから参加のアレックス君の顔もあり百名山達成に相応しい賑やかな顔ぶれとなった。10時40分、夜行バスは私たちの夢を乗せて一路金沢に向けて出発した。
【1日目】
一夜明けて、5時45分頃バスは工事中で閑散とした金沢駅東口に到着した。夜行列車やバスが苦手な私も、いつもよりは眠れたのですっきりした気分で降り立った。登山口の別当出合行のバスは6時40分発。時間がたっぷりあるので駅前で朝食をとった。ここから別当出合まではさらに2時間バスに揺られた。
別当出合には売店や立派なトイレもあった。ここでとりあえず記念写真を撮り、身支度を整えいよいよ出発。心配した天気も上々だ。この日に備え(?)最近購入したビデオカメラをしっかり手に持ち、他にデジカメと一眼レフをザックに。まるで観光旅行みたい…。
歩き始めて直ぐ、別当谷に掛かるつり橋を渡る。このつり橋が結構揺れた。おかーさんは相当びびっていた。何年か前、白峰三山を縦走した時の下山路(大門沢)で何本もつり橋を渡ったが、その時ちょっとでも揺らそうものなら鬼の形相で怒っていたのを思い出した。
橋を渡ると樹林帯の中を登って行く。大きな岩もなく歩き易い道だ。勾配もそれ程急ではないが、暑いので直ぐに汗が滴り落ちる。
40分ほど歩くと中飯場に着いた。ここにもトイレと休憩スペースがあり、なかなか設備の行き届いた登山道だ。一休みし、水を補給してまだまだみんな元気に出発。
階段状の道を登ると突然、立体交差の工事現場へ出た。下には舗装こそしていないが道幅の広い林道が!! 急峻な谷には何段にも連なった滝が見えるが、その下にはこれまた何段にも砂防ダムが。土石流や鉄砲水を防ぐには止むを得ないのだろうが、何とも残念な光景だ。
林道を跨ぎまた樹林帯の道に入る。だんだんみんな無口になり、黙々と登っていく。途中小広い見晴らしの良い場所を通過。別当覗の標識があり、標高1,750mと記してある。登山口から丁度500m登った事になる。今日の目的地室堂までは、まだまだ800m近く残っている。
トップに出てみんなをビデオに収めようと脚を使いすぎ、小屋まで800mの標識で「えっ、まだ800mもあるんだ」などと言っていると、田原リーダーが「甚ノ助避難小屋まで頑張ろうと思っていたけど、遅れ始めたメンバーもいるので、ここでみんなを待ちましょう」ということになった。
結局15分ほど休憩になり、甚ノ助避難小屋には11時半前に着いた。小屋の前にはテーブルやベンチが設置され、トイレもありいい休憩ポイントだ。ここで大休止、各自昼食となった。このころからガスや風か出始め汗でびっしょりになったTシャツ一枚では寒くなってきた。
隊列が長くなったので、先発隊と後発隊の2班に分かれることになった。12時出発の筈が先発隊は入れ込んでいて、フライング気味に出て行った。私とおかーさんも慌てて荷物をまとめ後を追った。
小屋の横手からまたまた樹林帯を登り始めると、石を敷き詰め登山道を整備している人たちが道端でお昼を食べていた。おかーさんと「ご苦労様です!」などと声を掛けて進んで行くと、大きな石も出てきて段々急にり、足を持ち上げなくてはならなくなって来た。
とっ突然、私の腿に痛みが走った。それも両足に…ヤバイ!こりゃつっちゃうぞ、先発隊を追うのを諦め、ちょっと歩いちゃ脚を伸ばし、騙しだまし歩かざるをえなかった。そのうち勾配が緩くなり、山腹を巻くような道になった。砂防新道(工事のため通行止め)を左に分け、さらに進むとエコーラインの分岐点にきた。真っ直ぐ行けば南竜荘の看板がある。
私たちはエコーラインへ足を向けた。ここから急登になってきて、森林限界も過ぎ晴れてたら見晴らしが良いのだろうが、ガスが濃くなりまわりは全然見えない。おまけに風も強くなり、時折突風となって体重の軽い私たちを襲ってくる。
先発隊は行っちゃうし、後発隊は来ない。前後には他の登山者もいないので心細かった。何とか頑張ったが、1時間以上歩いたところでついに休憩を入れた。
気を取り直して歩き始め、5分ほど行くと木道が出現した。弥陀ヶ原に出たようだ。現金なもので腿も元気を取り戻し尾瀬気分で歩けた。ただ相変わらずまわりは何も見えない。木道の終点からほどなく観光新道と合流。大岩のゴロゴロ道の出現でまたまた腿が機嫌悪くなり、最初はおかーさんと一緒に登っていたが、時間が掛かってしまうので途中から先に行ってもらった。
室堂にはビジターセンターを中心に何棟か小屋があり、私たちはこざくら荘の3号室に落ち着いた。着替えを済ませ一休みして布団を敷き、食堂に行ってとりあえずビールなどを頂いた。後発隊も一緒に夕食までの間食堂で談笑していると、外は雨が降り始めていた。
そのうち私は睡魔に襲われ、まさにこれから食事ですよという時、ついに我慢できず部屋へ引き上げてしまった。あーあ、鹿島槍に続きまた夕食抜きのハメに陥ってしまったのであった。
みんなが食事中に少し寝てしまったのと、外の雨音やカミナリ(何故か室内)で夜は時々目が覚めてしまい、挙句に3時過ぎには完全に目が覚めてしまった。
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さあ、これから
中飯場で
ガスの中を行く
室堂、こざくら荘
御前峰(翌日撮影)
白山神社(翌日撮影)
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