ハクサンチドリ　　　　　　　　　　　　　イワカガミ　　　　 　東雲ハイキングクラブの７月例会で尾瀬・至仏山に行った。私の大苦手な夜行バスだが、1年ぶりの尾瀬の花々に逢えるのが楽しみだ。 　集合は１０時３０分に新宿。ヨーゼフとクーに「お留守番」と言い聞かせ、家を出たのが９時３０分だった。梅雨の最中だが雨は降っていない。予報によれば明日は何とか持ちそうだ。今日は早めに出たのでトップクラスかと思っていたが、バスの乗り場に着くともうすでに皆さん来ていました。マイッタ！　集合時間を過ぎていつもどおりＹさんをトリに総勢１７名が揃い、定刻どおり１１時にバスは尾瀬を目指し出発した。 相変わらず眠れないまま戸倉で乗り換え、５時ちょっと前鳩待峠にやっと着いた。途中雨が降ったりしていたが、幸いにもここは降っていない。広場には大勢の登山者がベンチを埋めていた。私たちも軽く（重い人もいたかも？）食事をしてから身支度を整えた。 　５時半ごろ出発。樹林帯を登っていくが傾斜が緩いので助かる。２０分ほど歩くと木道が現れ、しばらく歩くと視界が開ける。丁度山腹を左に巻くような形で登り続け、見晴らしのいい所で１回目の休憩をとった。 　段々傾斜がついてくる中再び樹林帯を４０分ほど登るとオヤマ沢に着いた。ここで２回目の休憩を取っていると突然雨が降り出してきた。カッパを着る人もいたが、暑いので傘をさすのみにした。最初は凄い降りだったが直ぐに小雨になり、オヤマ田代の辺りではもう止んでいた。 　この辺りから花が私たちの眼を楽しませてくれるようになって来た。イワカガミやチングルマ、ハクサンチドリなどを観賞しながら木の長い階段を上り、露で白くなったハイマツが生えている岩場を登りつめると小至仏山に到着した。行動食を摂ったり写真を撮ったりしていて大休止になってしまった。 　ここから稜線歩きで至仏山に向かう。シャクナゲやヨツバシオガマ、初めて知ったウラジロヨウラク等々楽しみながら三つ程小ピークを越え最後の岩場を抜けたところが至仏山頂だった。 　５年前にも今回と同じコースを来たが、あの時山頂はガスっていてほとんど記憶に残っていないが、今回は晴れ間が見えてきてラッキーだ。山頂は大勢の登山者で賑わっていた。私たちもコーヒーを沸かして飲んだり、軽い食事をしたりしてゆっくり休んだ。 　４０分ぐらい休んで下山を開始した。少し行くと霧雨が降ってきた。木の階段を下りて行くと休憩所があり、高天原と書いてあった。雨は直ぐに止んだが蛇紋岩には十分な湿り気だった。傾斜もきつくなり、かなり神経を使って下り始めた。最初はそれでも木の階段もあったが、段々蛇紋岩だらけになり、所々で渋滞が始まった。ワイワイ言いながら降りていくうちパッとガスが晴れ、尾瀬ヶ原が眼に飛び込んできた。 　１時間半ぐらい掛かって森林限界に着いた。ここからは樹林帯になる。登山道が狭くなり、水浸し箇所が多くなった。木の杭に靴を乗せ、なるべく濡れないようにして歩いた。樹林帯突入から３０分で登山口に到着。至仏山を振り返りながら湿原の木道を歩み山の鼻へ。 　山の鼻ではレストハウスで早速生ビール。こりゃ美味かった。ただし私は歯痛でダウン。幸いおかーさんが痛み止めの薬を持っていたので飲んだが、直ぐには効かずお昼ご飯は食べられなかった。うーん残念だ。あの苦戦した下りと夜行バスでの寝不足からか皆さんゆっくりお休みになりました。 　超大休止のあと下田代十字路の桧枝岐小屋に向けて出発した。ここからは湿原の中を木道歩き、天気も良く楽チン楽チン。昨年ほどではなかったが、それでもニッコーキスゲが咲き誇り、負けじとアヤメやワタスゲたちも私たちを楽しませてくれた。その他にもタテヤマリンドウ、トキソウ等々いろいろ教えて頂きました。山もいいけど湿原歩きも最高ですね。ただ人の多さがちょっと残念だったが…。途中、牛首（三叉）と竜宮で休憩を取り、桧枝岐小屋には３時半前に着きました。 　夕飯を食べた後は弥四郎小屋で皆さんとコーヒーを飲み、珍しくアルコール控えめで尾瀬の一日目は過ぎて行った。

ワタスゲ オゼコウホネ ヒツジグサ 　下田代十字路を望む

２日目は沼尻へ出て、尾瀬沼の北側を回り、長蔵小屋経、三平峠経由大清水のコース。 　夜中、外は大降りの雨だったが起きる頃には小雨になっていた。５時に目覚ましを掛けておいたが無駄だった。４時過ぎには全員起きてしまった。外へ散策に出掛けてしまった人も何人かいた。山小屋で暖かい朝食をとり、７時の遅立ちで先ずは尾瀬沼へ向けて出発した。 　最初は木道を楽に歩き、そのうち山道になると思っていたら何時まで経っても木道。結局沼尻までの７０％は木道だったろう。これはこれで歩き易くて結構でした。 　一度休憩を入れ、そこから２０分ほどで白砂峠を通過した。ここからの下りでは雨に濡れた岩が現れてきたが、昨日の蛇紋岩に比べれば屁（失礼！）でもない。軽やかに下って行くと何と道端に尾瀬の象徴、水芭蕉が咲いていた。もうとっくに時期は過ぎているのに、何か得した気分だ。他にもシャクナゲやレンゲツツジもきれいに咲いていた。 　沼尻では靄がかかり湖面が幻想的な美しさだった。ここで約２０分休憩後、尾瀬沼の北側を回り長蔵小屋へ向かった。途中湿原で写真を撮ったりしながら歩き、５０分ほどで大江湿原に到着。 　大江湿原ではニッコーキスゲの群生に見とれ、流れる川の中に超大物の岩魚を見つけ釣りたい欲望に駆られ、しばらく橋の上から動かなかった。ふと気がつくと誰もいなかったので急いで長蔵小屋へ向かった。有志がヤナギランの丘へお墓参りに行くと言うので、私はお土産売り場で３５０円のコーヒーを飲んで待っていた。 　有志が帰ってきたところで即出発。尾瀬沼山荘の脇を通って三平峠の登りに入った。ここも木道で大変歩き易かった。三平峠からの下りも結構木道が続いた。これじゃ登山靴よりスニーカーの方がいいななどと思いながら一ノ瀬休憩所へ向かった。休憩所ではカキ氷を頂いた。美味かったなー。ここから良く整備された広い林道を４０分、やっと終点の大清水に到着した。 　バスの出発まで１時間半以上あったので、反省会はかなり盛り上がった。バスの中まで一部反省会は続いていたが、私は寝かせていただいた。沼田インター手前の例の漬物屋と三芳Ｐでトイレタイムがあり、新座料金所から練馬まで渋滞があったものの、予定の８時より大分早く新宿に帰り着いた。 　望外の水芭蕉を始め色々な花にめぐり合え、天気も梅雨の最中にしては恵まれ、楽しい２日間だった。蛇紋岩で痣をこしらえた人もいたけれど、それはそれで思い出になったことでしょう。お疲れ様でした。次回は鹿島槍ヶ岳でお会いしましょう。

水芭蕉 シャクナゲ レンゲツツジ 沼尻にて

モイワシャジン　　　　　　　　　　　　　　　 八方池 　今回はおかーさんと２人で「山渓」に掲載された北アルプスの唐松岳と五竜岳に登りに行った。まだ梅雨明け前なので天気は期待しなかったが、８月に行く『鹿島槍ヶ岳』はちょっとでいいから見たいななどと思っていた。 　朝４時半に家を出る積りが起きたのが４時半だったので結局出発は５時を過ぎてしまった。所沢インターから関越に乗り藤岡から上信越道へ、長野インターを出たのが７時１０分ごろ。車を置いておく、五竜遠見に着いたのが８時１０分頃だった。途中雨に降られたりしたが、五竜に着いたときは降っていなかった。何とか始発の８時４０分発山麓シャトルバスに間に合った。バスを待つ間に簡単な朝食をとり、八方尾根へ向かった。八方尾根のゴンドラに乗り、リフトを２本乗り継ぎ八方池山荘前に着いたのは１０時を過ぎていた。１本目と２本目のリフトの間にはちょっとした湿地帯があり、ニッコウキスゲが満開だった。　 　八方池山荘から唐松岳頂上山荘までコースタイム（昭文社の山と高原地図）では３時間３０分となっている。今日は山荘泊まりなのでノンビリ出来る。霧雨の中を１０時１５分、いよいよ歩き始めた。八方池山荘裏から登山道は二手に分かれる。私たちは尾根道を進んだ。霧雨は歩き始めてすぐ止んで、時折太陽も顔を出すようになったため暑いのでカッパを脱ぐ。だが相変わらず白馬３山は上のほうに雲がかかり残念だが見る事が出来ない。第２ケルンまでは登山者より観光客の方がかなり多い。八方山ケルンには大勢の人が休んでいた。第２ケルンで登山道が合流する。ここにはトイレがあり、ここまで道も良く整備されている。 　第２ケルンから２０分ほど歩くと右前方に小さな雪渓が、そしてその先に八方池が見えてきた。池には登山道からやや下がって行き、一周出来るようになっていた。ここまで来るともう観光客は少なくなってきた。ほぼ１時間歩いたので最初の休憩を取っていると雨が降り始めてきた。 　ここまでは見晴らしの良い（天気が良ければなー）尾根道だったが、ここからはいよいよ山道になり傾斜もやや強くなってきた。八方池を過ぎるとすぐ樹林帯に入った。カッパを着ているので暑い！　５、６分歩いてちょっと開けたところに出たとき、１０名ほどの登山者が集っていた。よく見ると花や食べ物、そして手に持った横断幕には「○○△△子さんを偲ぶ」と書いてあるではないか。何か神妙な気持ちになってそこを通り過ぎた。 　小さな雪渓を２度越えてさらに進むと大きな雪渓の下部に出た。ここが扇の雪渓だ。先行者が思い思いに休憩していた。雪渓を渡ってくる風が心地よかったが、私たちは雪渓の上部で休もうと先へ進むことにした。 　ところが、ここからは登山道も急になってきて、１５分も歩いたところでおかーさんが珍しく休もうと言い出した。私より荷が重いのとやっぱり寝不足がこたえたようだ。１０分ほど休憩して歩き始めたが、直ぐに小広い台地にでた。もうちょっと我慢して歩けばよかったなと思ったが後の祭り。ハイマツ帯を進むと再び雪渓が現れ、そこを渡りきり右に登り詰めると丸山ケルンに到達した。 　朝バスに乗る前に食べたきりで結構お腹が空いていたので昼食タイムにした。雨はもう完全にあがっていたが休んでいると寒くなる。ここで標高が２,４２０ｍ、周りにはすでに樹林はない。頂上山荘まではもうそんなに標高差はないので１時間も掛からないだろうと、おかーさんと２人で気合を入れて歩き出した。コケモモやチングルマ、イワカガミなどの可愛い花を愛でながら行くと、尾根の左側を巻くような感じになった。切れ落ちた崖を左に見ながら慎重に歩を進め、短い鎖場を過ぎて左に花を見ながら岩を抜けると突然小屋が出現した。 　早速受付でチェックイン。翌日の朝食時間を聞かれたので、明日は五竜山荘泊まりなのでゆっくりでいいと６時過ぎの時間にした。登山客で混雑していたが、私たちの部屋は蚕棚の下、2ノＤ。掛け布団が７枚、小さい枕は９コ並べられていたが、結果的には５人で寝たのでゆとりがあった。 　寝床を確保してからカメラだけを持ってガスで見えない唐松岳を目指した。小屋から一旦やや下るがその間はザレ場で、歩道の両脇にはあのコマクサが咲いているではないか。小さい株からやや大き目のまで健気に生きている。何でコマクサはこんな悪環境に住むのだろう？いつも不思議に思う。 　一旦下った後いよいよ山頂を目指す。岩まじりの道をぐいぐい登ると、２０分ほどで山頂に到達した。本来なら３６０度の眺望が得られず筈なのだが、生憎ガスが掛かっていて何もなし。残念！写真を撮ってすぐ引き上げた。 　５時からの夕飯を食べ終わった頃、小屋の人が「唐松岳が見え始めましたよ」と大きな声で知らせてくれた。急いでカメラを取りに行って戻ってくると、頂付近はまたまたガスが掛かってしまった。小屋から真正面に見える剣岳も頂はガスに隠れていた。 　部屋に戻ってから、明日どうしようかとおかーさんと話していて、五竜山荘に泊まるのはやめて、下山しちゃうことにした。そうと決まれば朝食の時間を５時からに変更して、７時前には寝てしまった。

チングルマ＆イワカガミ チシマギキョウ ウラジロヨウラク コマクサ ショウジョウバカマ

五竜岳　　　　　　　　　　 五竜山荘　　　　　　　　　　　 　４時半には起きる積りで目覚ましを掛けておいたが、周りが騒々しくて３時半には眼が覚めてしまった。早立ちはしょうがないが、まだ寝ている人に迷惑を掛けて欲しくない。それにしてもマナーの悪い人達だった。 　支度をして食堂に行き暖かいご飯を食べて、小屋の前で記念写真を撮り５時半過ぎには出発した。 　山荘から縦走路に踏み込むと、すぐに岩場だった。あとで知ったのだがここが牛首と言われる所だった。この岩場は結構怖かった。ここを下ると稜線に出た。チシマギキョウやシロツメクサを写真に撮りながらガレ場を進むと、知らない間に「大黒岳」を過ぎてどんどん下り、樹林帯に入って行った。途中キヌガサソウ、ゴゼンタチバナを写真に収め、やがて登り返しが始まった。樹林帯から抜け出たところで一回目の休憩を取った。 　水分を補給して出発。花崗岩の小砂利のようなガレ場を九十九折で登っていく。シャクナゲがきれいだ。コケモモやシオガマも咲いている。ここからが「白岳」への登りだなと思いながら行くと、途中ナギみたいなところを通過すると、道は山腹を斜めにトラバースしながらも高度を上げて行った。 　休憩から３０分強で遠見尾根の分岐に着いた。右前方下に五竜山荘の赤い屋根が見えた。分岐からゆっくり降りて山荘に到着。早速山荘の受付で、本日泊まりをキャンセルした。 　まだ７時４０分と時間が早いので、ゆっくり休憩した。コンロでお湯を沸かし、スープを飲んでパワー（？）をつけてから久し振りの百名山を目指した。 　山荘前からガレ場につけられた細い登山道を最初からぐいぐい登る。そのうち道は九十九折になり傾斜も増してきた。途中左にピークを分け、さらに進むと岩場が立ちはだかってきた。足元には小さい岩片があり、落とさないよう慎重に確実に高度を稼いだ。何度も岩を這い登り鎖場をクリアするとパッと前が開けてピークに立った。おかーさんと「ワーイ頂上だー」と思ったら、稜線をもう20ｍぐらい先に進んだところがホントの山頂だった。 　今回の山行の楽しみだった『鹿島槍ヶ岳』は残念ながらガスっていて見られなかった。山頂は広いので眺望が効けばゆっくりしたかったが、写真を撮って下山を開始した。 　１０時には山荘に帰り着けると思っていたが、この時間はまだまだ登ってくる人が多いので途中待ち時間が多く、登りと変わらない時間が掛かってしまった。 　長丁場の遠見尾根下山路に備え、またまた３０分ほどの休憩をとった。おかーさんはアンパンを私は山荘でカップヌードルを買って腹ごしらえも済まし、今日の宿を携帯電話で予約してから、五竜テレキャビンの山頂駅「アルプス平」へ向けて出発。 　山荘の裏手から「白岳」方向へ７、８分登ると最高点に達する。ここから鎖場もあるそれ程ではない岩場を下り、木段を下り登り返したところで休憩をとった。 　稜線歩きからついに樹林帯に入ると西遠見にでた。雪渓があって２組のパーティーが休んでいた。雪渓を横断して再び樹林帯に入ると、まだまだ残雪があり雪の上の散歩を楽しみながら歩くことができた。傾斜が穏やかなのですぐ大遠見を通過、道標であと２.5ｈの文字を見て先を急ぐ。ここまでは順調だったが、中遠見の登りにはマイッタ。標高差は大してないが、直登の木段はきつかった。中遠見からはまた一旦下り登り返すと小遠見だった。ここでちょっと失敗。分岐があったので先行者につられて左に道をとってしまった。結果は巻き道で、先の合流点から小遠見へ戻って登り返す羽目になってしまった。 　小遠見で写真を撮っていると雨が降り始めてきた。カッパを着て急ぎ下山を続けた。小遠見までは観光客も来ていて、道も整備されていて歩き易い。途中で小さい子供連れの若い夫婦が頭にタオルを被せただけで降りていくのに会った。降りも強くなってきていたので、おかーさんの傘をあげて、スーパーの袋の一辺を切って三角頭巾みたいにしてあげた。いくら整備されているとはいえ、小遠見は2000mあるんですよ。晴天でもないのに無茶するよなー。　３時前にはテレキャビン山頂駅に着き、ソフトクリームを平らげてから下界へ降りた。 　観光協会が用意してくれた宿は、テレキャビンから程近い「ウルル」。ウッディーな雰囲気で食事も良いペンションだった。ここでラッキーなことがあった。食事のとき隣のお客さんがオーナーと蛍を見に行く話をしていたので、すかさず私たちも連れて行ってもらうことにした。アルコールも入ってとても眠かったけど行って良かった。この目で幻想的な蛍の光を見させて頂きました。この時期に見られるなんて本当にラッキーだった。２日間、山での眺望が悪かったにもめげず歩いた私たちに、神様がご褒美をくれたのでしょう。２人とも大感激して一日を終えることができました。

キヌガサソウ ゴゼンタチバナ チシマフウロ コオニユリ アズマギク

山行記のページへ　　　　トップページへ