2005年9月の山行記録です


 9月16日〜19日、東雲ハイキングクラブの9月例会で『剱岳』と『立山』へ行った。
 一昨年、今回と行程は違うがおかーさんと二人でやはり『剱岳』と『立山』へ行ったが、天候が悪く『剱岳』を諦めたこともあり、今回は是非とも『剱岳』の山頂には立ちたかった。
 前回は早朝4時に家を車で出発、扇沢から乗り継ぎで室堂を9時半ごろにスタート、雷鳥坂を登って別山乗越越えで直接「剣山荘」に行ったが、今回は夜行なので『立山』を経由して「剣山荘」へ行く。

立山   3,015m 2005年9月17日
天気:曇り
17日 到着時間 出発時間 区間時間 休憩時間 総合時間
 室堂 7:45
 一ノ越 8:30 8:47 0:45 0:17 0:45
 雄山 9:41 10:11 0:54 0:30 1:56
 大汝山 10:29 10:42 0:18 0:13 2:44
 富士ノ折立 10:51 11:04 0:09 0:13 3:06
 真砂岳分岐 11:32 12:06 0:28 0:34 3:47
 別山 12:54 13:05 0:48 0:11 5:09
 別山乗越 13:27 14:00 0:22 0:33 5:42
 剣山荘 14:55 0:55 7:10
 合計時間 4時間39分 2時間31分 7時間30分

【1日目】

前夜(16日)、新宿から10時半の夜行バスで室堂へ向った。

室堂で

バスはもちろんのこと電車にしてもどうも夜行は苦手だ。どうしても寝不足で次の日調子がでない。今回は高速道が長いのでまだ良いものの、やはり眠れない。途中、談合坂、梓川、有磯海のサービスエリアで休憩、予定より早く7時前に立山「室堂」に着いた。

 外はTシャツ一枚ではちょっと肌寒い。先ずは室堂ターミナルの待合室で朝食をとることにした。待合室は他の登山客で混雑していたが、私たちも一角に座ることができ、持って来たサンドイッチを食べた。

 準備ができたとこでバス発着所とは反対の広場に集合。前回は夏休み期間だったので登山客、観光客で人だらけだったが、今回は閑散としていた。それでも何組かの登山隊?が準備していた。

 「立山」の碑の前で記念写真を撮っていよいよ「立山」へ向う。
 先ずは雄山と浄土山の鞍部、一ノ越へ。コンクリートの道をダラダラ登って行く。『立山』は雲に覆われていて山頂部は見られない。
 歩き出して直ぐ、前回『浄土山』から下山してきた道に会う。おかーさんと下りてきた時を思い出す。

雄山

一ノ越へ真っ直ぐ伸びていた道が左に折れるとジグザグになる。これを登り切ると山荘前の広場に出た。左に行くと雄山へ、右に行くと富山大学の「立山研究所」に出られる。前来たときは富山大学の女性教授?に、この先の「五色ヶ原」は最高に良いところなので是非一度行ってご覧なさいと言われたことを思い出した。なんでも花が咲き誇ってとても良いところだそうだ。いつか行ってみたいものだ。

 休憩後、「雄山」目指して出発。この登りは結構キツイ。ザレ場の九十九折を落石に注意しながら登る。
 平坦で広場になった「三ノ越」で遅れ気味のメンバーを待ちがてら一服する。おかーさんはちょっと調子が上がらないようだ。

 一服して元気を回復したあとは山頂を目指して再び急登をハァハァ言いながら登って行くとやがて雄山神社の社務所脇に出た。

 この頃になると雲も少なくなり、後立山連峰が姿を現してきた。眼下にはエメラルドグリーンの黒部湖の一部が。

黒部湖

社務所の前のベンチに座ってそれらを眺めたり、薄暗い社務所に入ってお守りを買って大休止した。

 記念写真のあとは立山の最高峰『大汝山」に向う。
 おかーさんは足の調子がイマイチのようだったが、稜線歩きなので20分足らずでピークの岩場に立った。
 ここからは雄山よりさらに眺望が良い。黒部湖も全体が見渡せる。二つのピークを持つ『鹿島槍ヶ岳』がここからは一つのピークに見える。

 しばし休憩のあと、三つ目のピーク「富士ノ折立」へ。ピーク手前の分岐で休んでいる時、平安さんが突然岩峰ピークを極めに行った。続いて田原リーダーも登っていく。二人とも5分足らずで頂上へ。それを見ていた他のメンバーも登り始めた。わたしとおかーさんはというと、
大事の前の小事とばかりパスして『真砂岳』へ向った。

 ジグザグの急傾斜を下り切るとしばらく平坦な道になるがそれも直ぐに真砂岳への登りになる。一歩づつ確実に登り切ると『真砂岳』手前の広い台地に出た。

剣山荘

ここも眺望が良く、遠く頭に雲の帽子を被った白馬まで見通せた。
 ここでは富士ノ折立のピークに登った最終組を30分ぐらい待ったので寝不足を思い出して眠くなってしまった。

 『真砂岳』のピークは巻いて一旦下り、『別山』の巻き道との分岐で隊列を整えた。別山山腹をトラバースする巻き道は足場が悪いところがあるとのことで、『別山』へ向った。

 短い登りだが疲れた体にはやや堪えた。20分ほどで祠のあるピークに出た。別山の最高点はここを右に10分ほど行った北峰だが6mしか違わない。晴れていれば『剱岳』のビューポイントだが、今日は曇っていて見えないのでここで休憩後「別山乗越」へ下った。

 何回か小さな上り下りをして「剱御前小舎」の裏に下りた。
 前回はここから『剱岳』を間近に見て感動したのだが、今回は残念ながら見ることができなかった。

小屋に入りコーヒーを飲んだりして時間をつぶし、あとは「剣山荘」へ一気に下った。
 前回は落石に注意しながら雪渓を3回ほどトラバースしたが、今回は雪渓がなくちょっとつまらなかった。「剱沢雪渓」も「剱沢小屋」の大分下部の方まで後退していた。前回は別山乗越直下まであったが…。

 「剣山荘」には3時ちょっと前に到着した。小屋は大変混雑していて、受付を終えるまで大分時間が掛かった。
 小屋の前のベンチで一杯飲んだあと、部屋へ案内された。
 ここにはお風呂もあるが、私は風呂にも入らず、夕食さえ食べに行かず布団に潜り込みウトウト(おかーさんに言わせると鼾をかいていてた)してた。みんなか食事から帰ると、アタックザックに雨具、水、行動食やカメラなどの最低限の荷を入れ、明日の準備を終えるて、本格的に眠りに落ちた。明日晴れるといいなー…。

 

剱岳   2,999m 2005年9月18日
天気:晴れ
18日 到着時間 出発時間 区間時間 休憩時間 総合時間
 剣山荘 4:38
 前剱 5:47 5:47 1:09 1:09
 剱岳 7:45 8:20 1:58 0:35 3:07
 一服剱 10:17 10:25 1:57 0:08 5:39
 剣山荘 10:42 11:30 0:17 0:48 6:04
 別山乗越 12:55 13:20 1:25 0:25 8:17
 雷鳥沢キャンプ場 14:18 14:30 0:58 0:12 9:40
 みくりが池温泉 15:05 0:35 10:27
 合計時間 8時間19分 2時間08分 10時間27分


【2日目】

夜明けの後立山連峰

明けて2日目。昨日早く寝たので3時前から目が覚めてしまった。
 私たちの部屋は1階だったので、3時ごろから2階の人たちの足音が響いてうるさかった。

 4時過ぎにはみんな起き出して支度を始めた。昨日のうちに用意してもらったお弁当を食べる。起きたばっかで喉を通らない。でも昨日の夕食を食べていないので必死に食べた。

 小屋の中は登山客でごった返している。人を掻き分け、靴を履いてやっと外に出ると、星も出ていて良い天気だ。Tシャツではちょっと肌寒いか。でも歩き出せばすぐ体が温まってくるので上には着なかった。

 みんなが揃ったところでいよいよ剣岳に向って出発した。一列になってヘッドランプで足下を照らし、最初はなだらかな砂利道を登っていく。
 前方にはもう一服剱辺りに灯りがチラチラしている。後を振り返るとやはり後続者の灯りが一列に繋がっている。

 しばらく歩くと尾根道と合流する。やがて狭い岩場の『一服剱』に到着。ここまで約30分、良いペースで来ている。

門(田原氏撮影)


 もう辺りは明るくなっている。来た道を見ると、下のほうに「剣山荘」や「剱沢小屋」、遥か遠くに別山乗越に「剱御前小舎」の灯りが見える。

 目の前には『前剱』がドーンと立ち塞がっている。一昨年来た時は小雨が降っていたので見られなかったが、今日はその急斜面を見せている。

 一旦武蔵のコルへ下ると前剱の斜面を登り始める。ここからがホントの岩場の登りになる。足場の悪いザレ場をハァハァ言いながら登っていく。やがて鎖場も出てきた。だがこの鎖場は大したことがない。鎖を持つ必要もなく登る。大岩を通り過ぎると尾根への登りになった。

 ここでちょっと立ち止まり息を整え、隊列を整える。あとは大きな岩を登っていくと『前剱』のピークに出た。
 眼前には剱岳本峰がその荒々しい岩肌を見せている。
 ここは『一服剱』も広いので休みたかったが、どっちみち「カニノタテバイ」で待つことになるだろうからと、先へ進んだ。
 
 一旦下ると両側が切れ落ちた細い道を通る「門」に出る。

 忘れもしない、一昨年の剱岳挑戦ではここで撤退した因縁の場所だ。
 今回は晴れているので様子が良く分かるが、あの時はガスと雨でたった10メートル先の様子が良く見えなかった。
 ここで必死に先を見ようとしたことが思い出された。

剱岳(前剱付近から)


 あの時と大きく違ったのは天候だけではなかった。橋が架かっていたのだ。多分道が更に細くなってしまい、危険な為に架けられたのだろう。
 今日は難なくここをクリア。岩場に取り付くと鎖の助けを借りて右にトラバース後すぐに上に出る。

 一度鎖場を下り、「平蔵の頭」へ登っていく。今度は急斜面の鎖場を「平蔵のコル」へ下る。前方には最難間とされる「カニノタテバイ」が見える。
 右に何処までも続くガレ場の谷を見ながら岩場をトラバースして行くと「カニノタテバイ」の基部に着いた。10人ぐらいの人が順番を待っている。

 上部にいる女性がとまってしまい、次がなかなか進まない。そのうちやっと私たちの番になった。

 平安さんの後におかーさん、その後ろに私が岩にとりついた。おかーさんは苦労していたが、足の置き場に困りそうなところには、ボルトも何本か打ち込んであり、私は思ったよりは楽に登ることができた。

カニノタテバイ



 「カニノタテバイ」をクリアすると、あとは危険な箇所もなく、岩場を登りつめれば山頂だ。

 山頂は『槍ヶ岳」よりは広く、大勢の登山者が思い思いに岩に腰掛けていた。

 山頂には小さな祠がある。とりあえずは記念写真を撮り、そばの岩に腰掛け、念願の『剱岳』登頂をじっくり味わった。
 隣のおかーさんを見ると目がうるうるしていた。無理もない、一昨年の撤退から2年。2度目の挑戦の今年は足を怪我して、もう登れないかもしれないと思った「剱岳山頂」に立つことが出来たのだ。おかーさん良かったね。

 「カニノタテバイ」で足止めを食っていた後続隊も山頂に来たところで全員で記念写真を撮り、今夜の宿「みくりが池温泉」までは先が長いのと下山で渋滞があるとまずいので、もう少し余韻に浸っていたかったけど下山することになった。

 岩場を軽やか?に下り、タテバイの上部で右に道をとり、下り専用の「カニノヨコバイ」の上部に出た。ガイド書や山行記でタテバイよりこちらの方が何となく難しそうな気がしていた。特に最初の一歩が足の置き場所が見えないので緊張した。
 
 再び平安さんが先頭に立ち、最初の一歩をクリアしたところで、おかーさんが踏み出した。
 ところがおかーさんの足が置き場所に届かない。横で平安さんが、上から私が覗き込み指示するのだがなかなか届かず、鎖につかまったまま足がぶらぶらしている。思わず右手で鎖を留めているハーケンを掴み、左手でおかーさんのザックの取っ手を掴んだくらいだ。
 岩から体を離し、やっと足場を確保しておかーさんは恐怖の時間をやり過ごすことができた。

山頂で、ヤッタネ!

 ヨコバイを過ぎると今度は梯子が待っていた。梯子自体は何でもないが、ここから覗いた景色が今回の中で一番怖かった。何処までももしかしたら麓まで一気に続いているのではないか思えるほどの谷が見えた。

 あとは慎重に下山を続けた。知らない間にあの「門」を迂回し、「前剱」を巻いて、「一服剱」へ。ここでホントに一服して「剣山荘」には10時40分ごろ帰ってきた。

 ここで大休止。登頂の余韻に浸り、ついでにカップ麺を食す。美味かった。

 剣山荘からは別山乗越までの登りが待っている。デポしていたザックを担ぎ、2班に分かれて出発。小屋から20分ほど登り、登山道に出るとあとは別山乗越まで振り返っては『剱岳』右に続く『八峰』を見渡しヤッタね、、写真を撮ったりしてブラブラ歩きで「剱御前小舎」前の広場へ。

 ここでふたたび30分近く休憩。一つのお汁粉をおかーさんと食べる。一昨年はこの広場の大きな岩の傍で「オコジョ」と会えたのだが、今日は人が多過ぎて出ては来てくれなかった。

 雷鳥坂を黙々と下り、称名川を渡るとキャンプ場に出る。ここで10分ほど休み、みくりが池温泉に向った。

別山乗越へ向かう途中、振り返ると


 雷鳥沢ヒュッテの前を通り、地獄谷の遊歩道を進む。蒸気が出ているところでは温泉の成分が飛んでくるのか眼が痛い。
 途中、遊歩道の下で、籠にゆで卵(例の殻が黒くなったやつ)を入れている人がいたので、声を掛けると「3時半までには宿に持って行くよ」と言うので、楽しみが増えた。

 最後の長ーい階段を登り切るとみくりが池温泉に着いた。

 早速温泉に浸かり、喫茶ルームで先程のゆで卵で生ビールを飲んだ。玉子は2個も食べてしまった。あー美味かった。

 私は疲れたのか、楽しい筈の夕食時にはビールをコップ半分飲んだだけで何も食べずお先に部屋に引き上げた。

 翌日起きると外は雨。朝食はバイキングだった。私は好きなものだけ食べられるから、バイキングスタイルが好きだ。お腹がすいていたので、ちょっと欲張って多めにとってしまったくらいだ。

 雨の中を室堂ターミナルまで行き、バス、ロープウエー、ケーブルカー、バスと乗り継ぎ扇沢へ。ロープウエー乗り場の係員の名調子につられて記念に写真集を買ってしまった。

地獄谷


 扇沢からバスで信濃大町へ。ローカル線で松本へ出た。乗る予定だった時間より2時間も早かったので、松本で時間をつぶす組と変更して先に帰る組とに別れた。私たちは平安夫妻、加藤さんと先に帰ることにした。次のあずさまで30分ほどあったので駅ビルで生ビールを飲み、電車で駅弁を肴に缶チューハイを一杯飲んだあとは八王子までぐっすり寝て行った。

 新宿まで行く平安さん、加藤さんと別れ、あとはヨーゼフとクーの待つ我家へ直行。3時ちょっと過ぎにはヨーゼフとクーの大歓待を受けていた。