 
天狗岩と割引沢 滑 滝
以前から一度行ってみたかった『巻機山』に東雲ハイキングクラブの皆さんと行った。
『平標山』の時にもお世話になった石打スキー場の民宿「せんす」に前日泊なので、折りしも関東に上陸した台風では記録的な台風２２号が静岡県にいる２時ごろ、土砂降りのなか関越道を一路新潟県塩沢に向かった。
前が良く見えないのでスピードは控えめに、慎重なドライブで何とか無事に水上を過ぎ関越トンネルへ進む。
トンネルの中がこんなに快適なのは初めての経験、その快適空間を出るとオッ、雨が小降りになっていた。
「せんす」に到着するともう田原リーダーはじめ全員集合していた。１名来られなくなったので私たちを入れて総勢１２名。
早速お風呂に入って先ずは一杯。ただし、前回の『平標山』の時は前日呑み過ぎてバテバテになった苦い経験があるので、今回はみんな控えめでした。
昨夜８時には寝たので３時半ごろには目が覚めた。空を見上げると星が出ている。朝食は５時なのでまた布団にもぐり、４時半には寝床を這い出した。
５時半に玄関に集合。宿からお借りしたワゴン車と私の車２台にメンバーが乗り、せんすのご主人の案内で登山口のある桜坂の駐車場に向かった。
駐車場に着くともう２０台ぐらいの車が駐車していた。支度を整え６時過ぎに出発した。
コースは予定通りヌクビ沢コース。前日雨が降っていたが、駐車場の脇を流れる米子沢が澄んでいたので大丈夫とリーダーが判断して沢コースを選択。
駐車場の奥にあるＢＯＸに登山届けを入れ舗装路を進む。標識に従ってすぐ右に折れ里道を行くと道は二手に分かれる。右に行くと下山路の「井戸尾根コース」私たちは真っ直ぐ進む。
しばらく行くと山に入っていく。もう「天狗岩」の上部が森の向こうに聳えている。
ややぬかるんだ緩やかな登山道を進んで行き、２５分ぐらいで「割引沢」を遡行するコースとの分岐に出た。沢コースは毎年事故がある危険な箇所があり、私たちは巻き道を（避難道コース）を行く。
ここから急登が始まり、急激に山腹を登っていく。ここまでウォーミングアップの緩やかな道だったのと前夜アルコールを控えたことが功を奏したか何とかリーダーについて行く。
ひとしきり登ると今度は山腹を回っていくが、これがとても細い（靴の幅ぐらいしかないところが何度も出現した）道の上に崩れそうなのでとても神経を使った。
一度休憩をとり、さらに進むと木の間から割引沢が見えてくる。やがてヌクビ沢が目の前に現れた。水量は結構多い（と言っても普段がどのくらいなのか知らないが…）
飛び石伝いに対岸に渡る。何名かは岸辺の浅いところに足を突っ込んでいた人もいた。渡り終えたところで一休み。ここまではいいペースで来ている。
いよいよ沢筋の登山道だ。みんな気合を入れ直す。
先ずは鎖とロープの設置された滑滝を遡行する。もちろん流れに入る訳ではないが、大きな一枚岩が滑りそうで緊張したが、意外と濡れていないところは滑らないので助かった。
滑滝上部に着くと今度は再び対岸へ渡る試練が待っていた。さっきと違って今回は飛び石伝いの浅い場所ではなく、大きな岩の溝をゴォーッと流れる物凄い水流を一気に飛び越さなくてはならない。
そりゃ脚の長い人やジャンプ力のある人は良いよ。でも今回のメンバーは女性が多数派。結構みんなナーバスになっていた。そりゃ落っこちたら２、３段下の小さな滝つぼみたいなところまでは流されちゃう。無事怪我なしでは済まされそうもない感じ。
ここで頼りになるナイト登場。平安さんがサポートして全員無事に渡り終えた。あぁ良かった。
ここからは沢を何回も渡り返し、岩を攀じ登り、怖い高巻があったり、その度にサポートあり（私も少しは役に立つよう頑張りました）、流れに浸かる人ありで変化に富んだ遡行だった。
天気が良くて岩に座って太陽の光を浴びているとそんな苦労も楽しかった。それに「行者滝」や名無しの滝のミストをいっぱい浴びて健康にも良かったかな。
やっと沢の上部辺りに来ると風が強くなって来た。依然として空は快晴だが日陰にいると寒く感じるほどだ。
沢の水が少なくなったころ、進入禁止マークが出て、沢とお別れして尾根へ出る最後の急登が始まる。一息入れて呼吸を整えてアタック開始。
ここはかなりの傾斜で四つ足？で登らなければならないほどだった。
尾根に出るとさらに強くなった風に煽られ少々歩きにくかった。２０分ほど掛かってやっと稜線に出た。ここは『割引岳』と『巻機山』の分岐点、予定より時間が掛かってしまったが何とか無事に辿り着けた。
とりあえずザックをデポして左の登山道を進み『割引岳』へ。
山頂からは『中ノ岳』がちょっと雲に隠れがちだったが、『駒ヶ岳』、お酒で有名な『八海山』と越後三山が並んで姿を見せてくれた。
強風でゆっくりもしていられず写真を撮ってすぐに分岐へ戻った。
分岐に着くとみんな一休みして何か食べているので、私とカミさんもお腹が減ったので宿で作ってくれたおにぎりを食べた。前回もそうだったけど、ここのおにぎりはホントに美味しい！
おにぎりを味わっているとみんな出発して行ってしまった。道は一本だし、見えているので我家は送れて出発した。
木道を登って行き、木の階段を登りきると『御機屋』に着いた。分岐からここまで大した道ではなかったが、急に生あくびが出て眠気が襲ってきた。ゆっくり歩いていたらカミさんはみんなを追いかけてサッサと私を置いて先に行ってしまった。ツメテェーなーと一人トボトボと歩いて行く私だった。
『御機屋』には『巻機山頂』の標識があったけど、本当は稜線上を『牛ヶ岳』方面へもう少し行った標高が５ｍ高い所が『巻機山本峰』と地図にはある。ついでに『巻機山』は「割引岳」「前巻機山」「本峰」「牛ヶ岳」の総称だそうだ。
でもここに山頂の標識があるので一応認定ということで記念写真を撮って、下山開始した。
前巻機山（ニセ巻機山）との鞍部にある避難小屋へ向かった。この間は池塘もあり、７から８月にはきれいなお花畑になるところだ。
小屋は改修中だが裏にあるトイレは使用可。トイレ休憩を取ってから『前巻機』へ登り返す。
山頂には「ニセ巻機山」と「九合目」の２本の標識が立っていた。それにしても「ニセ」はないだろう。「前」にしてやりなさいよ、と思った。
振り返って『巻機山』のたおやかな稜線と三角の『割引岳』を見やった。キツイ登りだったな。あとは下るだけだ。
八合目までは階段状になっている。避難小屋への下りも階段で、膝が痛んできていたので速く歩けなかった。ここも丸一合分階段なのできつかった。杖を出してゆっくり下った。
八合目を過ぎると樹林帯になり、下がるに連れて振り返ると紅葉がきれいだった。
六合目では天狗岩、割引岳、そして稜線に向かって伸びるヌクビ沢を一望し、良く頑張ったなと自分を誉めたりした。
五合目ではここ「井戸尾根」挟んでヌクビ沢と反対側の米子沢の滝が連なる景観を展望。
あとはひたすら樹林帯を黙々と下山。三合目に着いて、まだまだあるなと思っていたら１０分ほどで林道に出た。すぐに朝通った沢コースとの分岐点、５分ぐらいで桜坂の駐車場に到着した。何のことはない、三合目は多分清水の集落からのものなんだろう。あーあ疲れた。
今回は厳しい山行だったが、変化にとんだコースで、あとから振り返るとスリル（そのときは怖かっただけ）があって楽しかった。井戸尾根コースの往復だったら楽だったかも知れないが、印象は大分違っていただろう。カミさんと二人では行けなかったかも、田原リーダーに感謝。
宿に帰りお風呂に入ってお茶を頂いたあと、今日も泊まり明日は苗場山に登る皆さんと別れ、私たちは雨と霧の関越道をヨーゼフとクーの待つ我家に向かった。
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ヌクビ沢
滑滝を登る
行者滝
沢筋を遡行
割引岳山頂
左から八海山、駒ヶ岳、中ノ岳
巻機山山頂
巻機山(避難小屋付近から)
ニセ巻機(前巻機)
巻機山と割引岳
紅 葉
黄 葉
ヌクビ沢と天狗岩 |
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